As-Is分析|顧客の現状を正確に理解するオペレーション・システム理解
顧客の現状(As-Is)を正確に理解するための分析手法を解説。オペレーションとシステムの両面から現状を把握し、的確な提案につなげる方法を紹介します。
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渡邊悠介
As-Is分析は「提案の説得力」を決める
顧客の現状(As-Is)を正確に理解することは、的確な提案(To-Be)を行うための大前提です。特に大手企業向け営業では、提案品質を決定的に左右します。
「御社の現状はこういう状態ですね」と正確に言い当てられる営業は、顧客から「この人はうちのことを理解している」と信頼されます。
As-Is分析の2つの視点
オペレーション理解(業務の進め方)
- 業務フロー(誰が、何を、どの順番で行っているか)
- 体制(何名で、どの役割で対応しているか)
- 課題(どこで詰まりやすいか、ミスが起きやすいポイント)
- 数値(処理量、かかる時間、コスト)
システム理解
- 既存システムの構成(何を使っているか)
- データの流れ(どのシステム間でデータが連携しているか)
- 制約(技術的な制約、カスタマイズの限界)
- 契約状況(既存のベンダーとの契約期限、更新時期)
As-Is分析のヒアリング手法
SPIN(状況・問題・示唆・解決の4段階で進める質問技法)の状況質問と問題質問を組み合わせてヒアリングします。
質問例:
- 「このプロセスは具体的にどのように進めていますか?」
- 「1日あたりの処理件数はどのくらいですか?」
- 「このシステムは何年くらい前から使っていますか?」
- 「このオペレーションで最も時間がかかっている部分はどこですか?」
As-IsからTo-Beへの橋渡し
As-Isを正確に把握した上で、To-Be(あるべき姿)を提示します。
As-Is(現状)→ ギャップ → To-Be(あるべき姿)→ 解決策(自社のソリューション)
このストーリーが提案書の骨格になります。As-Isが正確であるほど、ギャップの認識が共有されやすくなり、解決策への合意が得やすくなります。
As-Is分析は地味な活動ですが、大手企業向け営業の提案品質を根本から支える重要な基盤です。次の商談では、「もう少し現状について詳しくお聞かせいただけますか」と一歩踏み込んでみてください。
よくある質問
- QAs-Is分析はどの段階で行うべきですか?
- 初回商談で概要を把握して、2〜3回目の商談で詳細を確認するのが一般的です。提案書を作成する前に、As-Isの理解が十分であることを必ず確認してください。現状の理解が浅いまま提案すると、顧客の実態と乖離した内容になるリスクがあります。
- Q顧客がAs-Is情報を教えてくれない場合はどうすべきですか?
- まず信頼関係の構築が先です。機密保持契約(NDA)の締結を提案したり、自社の類似案件での一般的なパターンを共有した上で「御社ではいかがですか?」と聞くアプローチが有効です。情報を一方的に求めるのではなく、先に価値を提供する姿勢が情報開示を促します。
- QAs-Is分析にはどのくらいの工数がかかりますか?
- 簡易版であれば商談2〜3回分のヒアリングと整理で対応できます。大型案件でシステム連携が複雑な場合は、専門の営業技術担当(プリセールス・SE)と連携して1〜2週間かけて調査することもあります。案件の規模と複雑さに応じて、適切な深さを判断してください。
渡邊悠介
代表取締役 / 株式会社Hibito
株式会社Hibito代表取締役。営業組織コーチング・個人コーチングを通じて、営業パーソンの主体性と成果を最大化する専門家。営業企画×AIによる組織変革とコーチングによる個人の可能性開放を両輪で推進。「全ての人が自分の未来を自分の手で描ける社会」の実現をミッションに掲げる。
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