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他部署と連携する力|営業企画がマーケ・CS・プロダクトと協働する方法

営業企画が他部署と効果的に連携する方法を解説。マーケティング・CS・プロダクトなど各部署との協働ポイントと、部門横断プロジェクトの推進法を紹介します。

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渡邊悠介


結論:営業企画は「組織のハブ」としての連携力が問われる

結論から述べます。営業企画は、営業部門だけでなく組織全体を見渡し、部門間の連携を設計する「ハブ」としての役割を担います。 マーケティングが獲得したリードを営業が商談化し、CSが顧客の成功を支援し、プロダクトが顧客の声を製品に反映する——この一連の流れを滑らかにつなげるのが、営業企画の部門横断連携です。

しかし現実には、部門間にはサイロ(縦割り)の壁が存在し、情報が分断され、施策の一貫性が失われていることが少なくありません。本記事では、営業企画が各部署と効果的に協働するための実践法を解説します。

部門間連携の基本設計——共通言語を作る

各部署のKPIと関心事を理解する

部署主要KPI関心事
マーケティングMQL数、リード獲得コストリードの質、コンテンツの効果
営業売上、受注率、商談数リードの質、ツール・資料の充実
CSNRR、チャーンレート、CSATプロダクトの安定性、顧客の声の反映
プロダクト機能リリース数、利用率顧客のニーズ、技術的課題
人事採用充足率、離職率人材要件の明確化、組織風土

共通の上位目標を設定する

各部署のKPIは異なりますが、「顧客の成功を通じて事業を成長させる」という上位目標は共通です。連携プロジェクトでは、部署固有のKPIではなく、全員が同意できる上位目標を最初に合意します。

部署別の連携ポイント

マーケティングとの連携

連携テーマ: リードの質の改善、コンテンツの営業活用

実践: 月次でマーケ×営業のレビューMTGを実施し、「どのリードソースからの商談化率が高いか」「営業が欲しいコンテンツは何か」を議論します。マーケティングにとっては「作ったコンテンツが営業で使われている」という実感が、営業にとっては「質の高いリードが来る」という実感が、連携の動機になります。

CSとの連携

連携テーマ: 既存顧客の拡大、解約防止

実践: CSが把握している拡大機会解約リスクの情報を、営業企画が施策に反映します。CSと営業の間の情報共有の仕組み(週次の情報共有シート、共通ダッシュボード)を営業企画が設計・運用します。

プロダクトとの連携

連携テーマ: 顧客の声のフィードバック、営業・CS向け機能の要望

実践: 営業・CSの現場から集まった顧客の声を、プロダクトチームに構造的にフィードバックします。「○社がこう言っている」ではなく「この課題は○社に共通しており、対応すると△の効果がある」と、ビジネスインパクトを添えて伝えます。

部門横断プロジェクトの推進法

ステップ1:プロジェクトの目的と成果を共有

全部署が「何を目指しているか」「完了したらどうなるか」を共通認識として持ちます。

ステップ2:各部署の役割と責任範囲を明確にする

「誰が何をやるか」を曖昧にしたまま進めると、責任の押し付け合いが発生します。WBSを使って、各タスクの担当部署と責任者を明確にします。

ステップ3:定例の連携MTGを設定する

隔週〜月次で、関係部署が集まるレビューMTGを設定します。ファシリテーションスキルを活かし、各部署の進捗を確認し、課題を共有し、次のアクションを合意します。

ステップ4:成果を全部署で共有する

プロジェクトの成果は、関係した全部署に共有し、各部署の貢献を明確に認めます。「マーケティングがリードの質を改善し、営業の商談化率が○%向上しました」と、部署間の貢献関係を可視化します。

部門間連携の壁を乗り越える3つの原則

原則1:「依頼」ではなく「共同プロジェクト」にする

「○○をお願いします」ではなく「一緒に○○を実現しませんか」と、共同プロジェクトとして設計します。相手も「オーナー」の一人であるという認識が、コミットメントを高めます。

原則2:相手部署のメリットを先に設計する

自部署のメリットだけでなく、相手部署にとってのメリットを明確にします。Win-Winの構造がなければ、持続的な連携は成立しません。

原則3:小さな連携から始める

大がかりな部門横断プロジェクトをいきなり始めるのではなく、まず小さな連携(情報共有の仕組み化、月次の合同レビュー)から始め、信頼を積み上げてから範囲を広げます。

まとめ:営業企画は「部門の壁を溶かす触媒」

部門間の壁は、意識的に働きかけなければ消えません。営業企画が「触媒」として各部署の間に入り、情報を流通させ、共通の目標に向かって協働を促進する——この役割が、組織全体の成果を最大化します。

明日から始める3つのアクションを提示します。

  1. マーケティング、CS、プロダクトの各部署のKPIと直近の課題を確認する
  2. 最も連携効果が高い1部署を特定し、月次のレビューMTGを設定する
  3. 連携テーマを1つ決め、共通の上位目標を合意する

他部署と連携する力は、ハンドリングスキル現場を巻き込む力の延長であり、営業企画が組織全体の成果に貢献するための最重要スキルです。

よくある質問

Q他部署に協力を依頼しても優先度を下げられてしまう場合は?
相手部署にとっての優先度が低い依頼は、後回しにされて当然です。対策として、依頼の内容を相手部署のKPIに紐づけて伝えてください。たとえばマーケティングに依頼する場合、『この施策によりリード→商談の転換率が○%改善され、マーケティングのMQL達成に貢献します』と伝えれば、相手にとっても優先度が上がります。
Q部門間の会議が形骸化している場合の立て直し方は?
会議の目的を再定義します。情報共有だけの会議は形骸化しやすいため、各回で必ず1つの意思決定または合意を行う設計にします。アジェンダに『今日決めること』を明記し、出席者が会議に参加する意味を感じられるようにしてください。それでも形骸化するなら、会議の廃止を検討すべきです。
Q営業企画が連携すべき部署の優先順位は?
一般的にはマーケティング→CS→プロダクトの順です。マーケティングとの連携はリードの質と量に直結し、営業の入口に影響します。CSとの連携は既存顧客の維持・拡大に影響します。プロダクトとの連携は中長期的な競争力に影響します。ただし、自社の最も大きな課題がどこにあるかによって優先順位は変わります。
渡邊悠介

渡邊悠介

代表取締役 / 株式会社Hibito

株式会社Hibito代表取締役。営業組織コーチング・個人コーチングを通じて、営業パーソンの主体性と成果を最大化する専門家。営業企画×AIによる組織変革とコーチングによる個人の可能性開放を両輪で推進。「全ての人が自分の未来を自分の手で描ける社会」の実現をミッションに掲げる。

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