1on1の質問リスト50選|目的別に使えるテンプレート
1on1ミーティングで使える質問リスト50選を目的別に整理。業務進捗、成長支援、キャリア、コンディション確認の4カテゴリで、すぐに使えるテンプレートを紹介します。
渡邊悠介
1on1の質問設計が対話の質を決める
1on1の質は、マネージャーが「何を聞くか」で決まります。 適切な質問は部下の思考を深め、気づきと行動変容を促します。一方、質問の設計を怠ると、1on1は雑談か進捗報告の場に変質し、双方にとって苦痛な時間になります。
1on1ミーティングとは何かを理解し、1on1の目的を明確に設定したとしても、「で、何を聞けばいいのか」という壁にぶつかるマネージャーは少なくありません。実際、リクルートマネジメントソリューションズの調査では、1on1を実施しているマネージャーの約6割が「何を話せばいいかわからない」と感じていると報告されています。
この記事では、1on1で使える質問を目的別に50問整理しました。業務進捗、成長・スキル開発、キャリア・将来、コンディション・関係性の4カテゴリに加え、営業マネージャー向けのテンプレートも用意しています。そのまま使うのではなく、自分の言葉に置き換えてアレンジしながら活用してください。
業務進捗に関する質問10選
業務進捗の確認は1on1の入口として使いやすいテーマです。ただし、単なる報告の場にしないことが重要です。「何をやったか」ではなく、「何を考えているか」「どこに困っているか」を引き出す質問を意識しましょう。
- 今、一番注力している業務は何ですか?
- その業務で、うまくいっていることは何ですか?
- 逆に、想定通りに進んでいないことはありますか?
- 進捗を妨げている一番大きな障害は何だと感じていますか?
- その障害を取り除くために、自分でできることは何がありますか?
- 私(マネージャー)が手助けできることはありますか?
- 今週の業務の中で、優先順位に迷っていることはありますか?
- もし時間が無限にあったら、今の業務で一番やりたいことは何ですか?
- 前回の1on1から、試してみたことで変化はありましたか?
- 来週の時点で、どんな状態になっていたら良い1週間だったと言えますか?
ポイントは、5番と6番の質問の順序です。まず本人に「自分で何ができるか」を考えてもらい、その上で必要な支援を聞く。この順序を守ることで、部下の自律性を育みながら適切なサポートを提供できます。
成長・スキル開発に関する質問10選
成長支援は1on1の本来の目的の中核です。日々の業務に追われる中で立ち止まり、自分の成長を振り返る時間を作ることが、1on1の最大の価値と言えます。
- 最近の業務で、一番成長を実感している部分はどこですか?
- 3ヶ月前の自分と比べて、変わったことは何ですか?
- 今、一番伸ばしたいスキルは何ですか?
- そのスキルを伸ばすために、今できることは何だと思いますか?
- 最近、仕事の中で「これは難しいな」と感じた場面はありますか?
- その難しさは、何が原因だと考えていますか?
- 社内で「この人のやり方を参考にしたい」と思う人はいますか?
- 今のチームで学べていることは何ですか?
- もしスキルアップのために何でも学べるとしたら、何を選びますか?
- 次の半年間で、一つだけ挑戦するとしたら何をやりたいですか?
成長に関する質問で気をつけたいのは、マネージャーが「こうすべき」と指示を出さないことです。コーチングの基本は、問いかけを通じて相手自身の中にある答えを引き出すことにあります。7番のように他者を参考にする視点を与えることで、本人が自ら学びの方向性を見つけるきっかけを作れます。
キャリア・将来に関する質問10選
キャリアの対話は、1on1でしかできない重要なテーマです。日常業務の延長線上にはない「中長期の視点」を対話に持ち込むことで、部下のエンゲージメントが高まり、主体的な行動を引き出せます。
- 3年後、どんな仕事をしていたいですか?
- 今の仕事は、将来やりたいことにどうつながっていると思いますか?
- キャリアの中で、一番やりがいを感じた経験は何ですか?
- その経験の何がやりがいにつながっていたと思いますか?
- 仕事をしていて、時間を忘れるほど夢中になれるのはどんな時ですか?
- 今の役割で、もっとやりたいことはありますか?
- 逆に、今の役割で「これは自分に合っていない」と感じることはありますか?
- 社内外問わず、ロールモデルにしている人はいますか?
- 今のスキルや経験を活かして、将来どんな価値を提供したいですか?
- キャリアについて、今一番気になっていることは何ですか?
キャリアの質問は毎週聞く必要はありません。月に1回、意識的にキャリアをテーマにした1on1を設けるのが効果的です。目標設定にコーチングを活かすのアプローチを組み合わせると、キャリアビジョンを具体的な行動計画に落とし込むことができます。
コンディション・関係性に関する質問10選
部下の心身の状態やチーム内の関係性を把握する質問です。パフォーマンスが下がっている時、原因はスキルや知識ではなく、コンディションや人間関係にあることが少なくありません。
- 最近の仕事の調子を10点満点で表すと何点ですか?
- その点数の理由を教えてもらえますか?
- 1点上げるために、何があるとよさそうですか?
- 仕事とプライベートのバランスは取れていますか?
- 最近、ストレスを感じていることはありますか?
- チーム内で、うまくいっている関係はありますか?
- 逆に、気になっている関係性やコミュニケーションはありますか?
- 今のチームの雰囲気について、率直にどう感じていますか?
- 私(マネージャー)のコミュニケーションで、改善した方がいいことはありますか?
- 今、一番大事にしたい時間は何ですか?
1〜3番の「10点満点」の質問は、1on1のオープニングで定番として使えます。数字で答えてもらうことで抽象的な「大丈夫です」を防ぎ、具体的な対話のきっかけを作れます。9番はマネージャー自身への率直なフィードバックを求める質問です。自分から弱みを見せることで、部下が本音を話せる心理的安全性が高まります。
質問を使いこなすための5つのコツ
質問リストを手元に置くだけでは、1on1の質は上がりません。質問を「道具」として使いこなすためのコツを5つ紹介します。
1. 沈黙を恐れない
質問した後、部下がすぐに答えないことがあります。ここで焦って次の質問をしたり、自分で答えを言ってしまうのは最もよくある失敗です。沈黙は、部下が内省している証拠です。10秒、20秒であっても、相手が考える時間を尊重しましょう。沈黙に耐えられるかどうかが、マネージャーのコーチング力を測る一つのバロメーターです。
2. 答えを先に言わない
マネージャーは経験豊富であるがゆえに、部下の話を聞いた瞬間に答えが見えることがあります。しかし、すぐに答えを与えると部下の思考が止まります。「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」という聞き方もNGです。マネージャーの意見を先に示すと、部下は自分の考えより上司の意見に合わせようとします。まず聴き、問いかけ、それでも必要な場合にのみ自分の視点を共有する。この順序を守ってください。
3. 一つの質問を深掘りする
30分の1on1で10問の質問を消化する必要はありません。むしろ、一つの質問に対して「なぜそう思う?」「もう少し詳しく聞かせて」「具体的にはどんな場面で?」と深掘りする方が、はるかに価値のある対話になります。表面的な質問を多く回すより、一つのテーマを深く掘り下げることを意識しましょう。
4. オープンクエスチョンを中心に使う
「はい/いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンは、対話を広げません。「うまくいっていますか?」ではなく「うまくいっていることは何ですか?」と聞く。「困っていませんか?」ではなく「困っていることがあるとしたら何ですか?」と聞く。質問の語尾を「何」「どう」「どんな」にするだけで、部下が自分の言葉で考え、語り始めます。
5. 質問の意図を明確に持つ
「とりあえず聞いてみる」質問と「意図を持って聞く」質問では、対話の深さがまるで異なります。この質問で何を引き出したいのか、どんな気づきを促したいのかを事前に考えておくことが大切です。ただし、意図を持つことと答えを誘導することは違います。意図は持ちつつも、部下の答えがどこに向かうかは委ねる。このバランスが、質の高い1on1の核心です。
営業マネージャー向けの質問テンプレート10選
営業組織の1on1では、数字の話に偏りがちです。案件の進捗や達成率は営業会議で確認し、1on1では部下の思考・成長・モチベーションに焦点を当てましょう。営業特有の文脈に合わせた質問テンプレートを10問紹介します。
- 今の担当顧客の中で、一番手応えを感じている案件はどれですか?
- その案件で、お客様が本当に解決したい課題は何だと思いますか?
- 最近の商談で、「ここはうまくいった」と思えた場面はありますか?
- 逆に、「もう少しこうすればよかった」と感じた商談はありますか?
- 今の営業スタイルで、もっと磨きたい部分はどこですか?
- お客様から学んだことで、印象に残っていることはありますか?
- チーム内で、他のメンバーのやり方で参考になったことはありますか?
- 今月の目標に対して、自分の中で一番大事にしたいアクションは何ですか?
- 営業という仕事を通じて、自分が一番価値を発揮できるのはどんな場面ですか?
- 半年後、営業としてどんな状態になっていたいですか?
2番の「お客様が本当に解決したい課題は何か」は、営業の本質に立ち返る強力な質問です。数字の話をせずとも、この問いかけから商談の質を高める対話が自然に生まれます。8番は目標を「数字」ではなく「行動」に変換する質問です。「売上500万円」という数字よりも、「初回商談で必ず課題の優先順位を確認する」という行動の方が、部下にとってコントロール可能で、次の1週間で実践できます。
まとめ
1on1の質問リストは、対話の「型」を作るためのツールです。型があることでマネージャーは安心して1on1に臨め、部下も「何を聞かれるか」がある程度予測できることで心理的安全性が高まります。
ただし、質問リストを機械的に読み上げるだけでは意味がありません。大切なのは、質問を起点にして部下の思考を深め、気づきと行動を引き出す対話のプロセスです。コーチングの基本を理解し、「聴く」「問いかける」「待つ」の3つを実践することで、質問の効果は何倍にもなります。
まずは今日の1on1で、この記事の中から3つだけ質問を選んで使ってみてください。完璧な質問をする必要はありません。「あなたに関心がある」という姿勢が伝われば、それだけで1on1は変わり始めます。
参考文献
- Andrew S. Grove, “High Output Management”, Vintage Books, 1983
- Michael Bungay Stanier, “The Coaching Habit: Say Less, Ask More & Change the Way You Lead Forever”, Box of Crayons Press, 2016
- リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティングに関する実態調査」
- 本間浩輔『ヤフーの1on1 — 部下を成長させるコミュニケーションの技法』ダイヤモンド社, 2017
- Gallup, “State of the Global Workplace Report”
よくある質問
- Q1on1で毎回同じ質問をしても良いですか?
- 定番の質問を2〜3問持っておくことは有効です。毎回同じ問いかけをすることで部下が事前に考える習慣がつき、対話の質が安定します。ただし、全ての質問を固定すると形骸化するため、定番質問+その時のテーマに応じた質問を組み合わせるのがおすすめです。
- Q部下が質問に対して『特にないです』と答える場合はどうすればいいですか?
- 『特にない』は信頼関係がまだ構築途中であるサインです。まずはマネージャー自身の近況や失敗談を開示し、安全な場であることを示しましょう。質問を変えて『最近、仕事で一番楽しかった瞬間は?』のようにポジティブな切り口から入るのも効果的です。
- Q1on1の質問リストは部下に事前共有すべきですか?
- 質問の一覧をそのまま共有する必要はありませんが、1on1のテーマや方向性を事前に伝えることは有効です。『今回はキャリアについて話したい』と予告しておけば、部下も考えを整理した状態で臨めます。
- Q質問の数は1回の1on1でいくつが適切ですか?
- 30分の1on1であれば、メインの質問は3〜5問が目安です。質問の数よりも、一つの質問に対して深掘りする対話の密度が重要です。表面的に多くの質問を消化するよりも、一つのテーマを丁寧に掘り下げる方が成果につながります。
渡邊悠介
代表取締役 / 株式会社Hibito
株式会社Hibito代表取締役。営業組織コーチング・個人コーチングを通じて、営業パーソンの主体性と成果を最大化する専門家。営業企画×AIによる組織変革とコーチングによる個人の可能性開放を両輪で推進。「全ての人が自分の未来を自分の手で描ける社会」の実現をミッションに掲げる。
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