組織図理解とパワーチャート|意思決定の力学を可視化する
顧客の組織図の読み方とパワーチャートの作成方法を解説。公式な組織構造と非公式な影響力の両方を把握し、商談戦略に活かす方法を紹介します。
渡邊悠介
組織図は「権限の地図」、パワーチャートは「影響力の地図」
エンタープライズ営業では、公式な組織図だけでなく、非公式な影響力の構造(パワーチャート)を把握することが、商談戦略の質を決定的に高めます。
組織図上では部長Aが意思決定者に見えても、実際には顧問Bの意見が最も影響力を持つ——このような「見えない力学」はエンタープライズ組織では珍しくありません。
パワーチャートの作成方法
ステップ1:組織図の作成
まず公式な組織構造を把握します。企業HP・IR情報・LinkedInを活用して組織図を作成します。
ステップ2:影響力の評価
各人物の「実質的な影響力」を評価します。
- 高:意思決定を左右する力がある
- 中:意見を求められる立場にある
- 低:決定に関与しない
ステップ3:態度の評価
各人物の「自社に対する態度」を評価します。
- 賛成:積極的に支持
- 中立:特に意見なし
- 反対:懸念や反対意見あり
ステップ4:戦略の設計
ステークホルダーの利害整理と統合し、各人物へのアプローチ戦略を設計します。
- 影響力 高×賛成: 最重要の味方。Champion(社内推進者)候補
- 影響力 高×中立: 最優先のアプローチ対象
- 影響力 高×反対: 最大のリスク。懸念の解消が急務
ツールを使ったパワーチャートの可視化
パワーチャートは手書きや表計算ツールでも作成できますが、専用ツールを使うと関係性の可視化と更新が格段に効率化されます。
Pathlightは、SalesforceやHubSpotと連携してパワーチャートを自動生成できる国内のエンタープライズ営業向けSaaSです。バイヤー相関図・リレーションマップ・組織図などを可視化する機能を備えています。
このようなパワーチャート描写ツールを活用することで、「なんとなく頭の中にある組織理解」をチーム全体で共有・議論できる形式に落とし込めます。エンタープライズ案件では複数のメンバーが異なる接点を持つため、ツールによる可視化と共有の仕組みが商談品質の底上げに直結します。
パワーチャートの更新タイミング
- 新しいステークホルダーが判明したとき
- 人事異動が発生したとき
- 商談フェーズが進んだとき
- ステークホルダーの態度に変化があったとき
パワーチャートはパイプラインマネジメントのレビューで定期的に確認し、常に最新の状態を保つことが重要です。組織図とパワーチャートを武器にすることで、エンタープライズセールスの商談を構造的にマネジメントできるようになります。
よくある質問
- Qパワーチャートの作成に必要な情報はどう集めますか?
- 商談でのヒアリング、Championからの情報、LinkedInのプロフィール、社内の過去の商談履歴が主な情報源です。完璧な情報は集められないため、仮説ベースで作成し、商談を通じて精度を上げていくアプローチが実践的です。
- Q組織図は顧客に直接もらえますか?
- もらえる場合もありますが、社外秘である場合も多いです。企業HPの組織情報・有価証券報告書の事業構造の記述・LinkedInでの役職者検索を組み合わせて、自分で推定することが多いです。担当者に「〇〇部門はどなたが責任者ですか?」と個別に聞いていくアプローチも有効です。
- Qパワーチャートはチームで共有すべきですか?
- はい、チームセリングのメンバー全員と共有すべきです。CRMに記録し、パイプラインレビューの際に確認する習慣をつけてください。各メンバーが異なる接点から得た情報を集約することで、パワーチャートの精度が高まります。
渡邊悠介
代表取締役 / 株式会社Hibito
株式会社Hibito代表取締役。営業組織コーチング・個人コーチングを通じて、営業パーソンの主体性と成果を最大化する専門家。営業企画×AIによる組織変革とコーチングによる個人の可能性開放を両輪で推進。「全ての人が自分の未来を自分の手で描ける社会」の実現をミッションに掲げる。
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